更新時に覚えておきたい!家賃を2割下げる方法

更新時に覚えておきたい!家賃を2割下げる方法
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突然ですが、あなたは今の家賃が妥当だと思っていますか?

また、隣の部屋よりも高い家賃を払わされ続けて理不尽な思いをしていませんか?
そして、日本の賃貸では家賃交渉は出来ない。家賃を下げてもらうなんて無理。

多くの方がそう言った間違った認識を持っているのでは無いでしょうか?
借地借家法第32条1項(借賃増減請求権)では家賃減額交渉の権利は法的にも認められているのです。
つまり、あなたには家賃を下げてもらう権利があるのです。

しかし、大家さん相手に家賃を下げてほしいと頼んでも契約書に今の家賃で納得してサインしましたよね?と言われてしまう。だが、そこで納得してはいけない。あなたには家賃を下げてもらう法的な権利があるのだから。

そこで今回は誰でも簡単に家賃を下げてもらう方法をお伝えしていく。もし、あなたが今の家賃に不満を感じているならこの方法で家賃を下げてもらおう。

1.そもそも家賃はどうやって決まる?

 

更新時に覚えておきたい!家賃を2割下げる方法

家賃は近隣の相場や同じ条件の物件を比較して決めていきます。

例えば周りに同じ条件の物件が8万円で募集している所、12万円で募集しても借り手は見つかりにくい。

そこで、プロである不動産会社が近隣家賃相場や同種物件を参考に大家さんにアドバイスをして、話がまとめられる。よって、それに近い金額で家賃が決められているのだ。

2.知っておきたい3つのポイント

 

2-1.家賃減額交渉の権利は法的にも認められている

更新時に覚えておきたい!家賃を2割下げる方法
結論から言えば借主(借りる側)からの家賃減額交渉は法的にも認められている。

以下に借主にとって(強い味方)となってくれる法律の条文を引用しておこう。

借地借家法第32条1項(借賃増減請求権)
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

契約で決めた家賃がさまざまな事情で不相応になったときには、家賃の増減を請求できると、借地借家法で明確に規定されているのだ。
そして「不相応となったとき」の具体的なケースとして以下の3つの状況が例示されている。

  1. 土地・建物に対する固定資産税など税金の増減
  2. 土地・建物価格の上昇や低下、その他の経済事情の変動
  3. 近隣にある同じような建物の家賃に比較して不相当

これらのうち、ひとつでも該当するものがあれば家賃の増減額請求できるとされているのである。
借賃増減請求権には、大家からの値上げ請求も含まれている。

2-2.「契約の条件にかかわらず」減額交渉可能

更新時に覚えておきたい!家賃を2割下げる方法

次に着目したいのは「契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」の「契約の条件にかかわらず」の部分である。

わざわざそう一言入れているのは、契約の条件によっては、「借賃の額の増減を請求できない」ケースがありうるからだ。
例えば、契約のなかで「2年間は家賃の減額(値下げ)はしない」といった特約を交わしていた場合、定められた期間は借主から値下げ請求はできないことになってしまう。

そこで、大家があなたに「2年間は賃料を減額しないと契約書に書いてあるでしょ」としたり顔で主張してきても、この法律の条文を知っているあなたは「借地借家法第32条1項では、[契約の条件にかかわらず]借賃の額の増減を請求することができるとなっていますから、そんな特約は無効ですよ」と有利に話を進める事ができるのだ。

したがって、契約書で「家賃の減額はしない」となっていたとしてもあなたの家賃減額請求は認められるということだ。

 

2-3.大家からの値上げ特約は認められない

家賃を2割下げる方法もうひとつ注目したいのは、この条文の最後に「ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」とされている点。
これは前述したのとは逆のケースを意味している。

例えば、契約の中に「2年間は家賃の増額(値上げ)はしない」というような特約があった場合には、当然のことながらその定めに従う。つまり大家からの値上げ請求は2年間認められないということになるわけだ。

つまり、借主側からの値下げ請求は、値下げしない契約があってもできる反面、大家側からの値上げ請求については、値上げしない契約があってもできないといった、借主に圧倒的に有利な内容になっていることをこの際、しっかり覚えておこう。

3.実際の裁判における判断基準

 

実際の裁判において、借賃増減請求が認められるかどうかは以下の3つの要件によって判定される。

  1. 現行賃料が客観的にみて、「不相応」になったこと
  2. 前回の改定から相当の時間が経過していること
  3. 不増額の特約がないこと

1.は、今の家賃が相場と開きが出できてしまった場合、その家賃のまま継続することが公平ではないと判断されるかどうかで判定される。

2.は、前回の契約から何年もの時間が経っていて、その間に経済的な事情が大きく変わった状況を指す。しかし、これまでの判例では前回の契約からあまり時間が経ってなくても経済状況などが急激に変化した場合は、借賃増減請求権は発生するものとされている。

3.「不増額の特約がないこと」は借主の請求とは関係なく一定期間は家賃を上げない旨が契約に盛り込まれていれば、大家からの家賃増額請求はできないということは先述したとおりである。

このように、何年も同じ部屋に住み続けてきて、周辺の家賃相場は下がっているのに、入居時と同じ家賃を払い続けているならば賃料減額を請求する権利は明らかにあるといえるだろう。

4.値下げ要求額を決めよう

 

では、家賃交渉は、どういう手順で進めればいいのか見ていこう。
あなたが、すべきことは家賃をいくら下げてもらうのかを決めることだ。
5000円なのか。20000円なのか。いくらでも良いから値下げしてほしいではなく、はっきりとした額を決めることが大切だ。
まずは下記の方法で家賃の相場を割り出そう。

1.賃貸サイトを使って今住んでいる部屋と同じ条件で検索する
(近隣で同じ条件の部屋が、現在の部屋よりも安く募集していた場合、それに近い金額まで下げてもらう)

2.今住んでいる建物の別の部屋の家賃を調べる
(今住んでいる建物のほかの部屋の家賃を調べて同額まで下げてもらう)

この方法で今住んでいる部屋の家賃の相場がわかるはずだ。後から引っ越してきた人があなたよりも安い家賃で入居していることはザラにあることなのだ。しかし、賃貸サイトでこまめにチェックすれば、大家も隠すことは出来ないのだ。

5.家賃交渉で困るのは大家

 

現在の賃貸市場では家余りで部屋数が借り手を上回ってしまっている。
その為、一度出で行かれてしまうと次の入居者がなかなか決まらないのが現状だ

最近はどこもフリーレントや、礼金ゼロなどで入居者を募集しているのが多くなってきた。その期間、家賃収入を得られなくなってしまう。
よって、大家は家賃を下げるよりも出て行かれてしまわれるほうが痛手なのだ。

6.家賃交渉の適切なタイミング

 

基本的には家賃交渉はいつしても構わない。
しかし、一般人が交渉する場合は2年に1度の契約更新時がおすすめだ。
なぜなら、何もない時期に家賃の値下げを求めても本気で検討してくれない可能性があるが、更新にあたっては新しい契約書にハンコを押すという行為が、必ず必要になってくるわけだから、そのタイミングで家賃の改定を持ち出すと相手も真剣に検討せざるをえなくなるというわけだ。

具体的には「更新のお知らせ」の文書に対する返信の形にして、こちらも文書に、家賃減額請求の要件を書いて送ればいいだけだ。下に例文を記載して置くので参考にしてほしい。

家賃値下げ交渉文例
 
拝啓      様(大家さんの名前または管理会社の担当者)
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 さて、  年  月  日にご送付いただきました「契約更新のお知らせ」を拝見しまして、以下のとおり回答いたします。ご提示いただきました平成  年  月から2年間の契約につきましては、現時点では更新したいと考えております。ただし、今回の更新にあたっては、家賃の改定をお願いしたいと思います。平成  年  月に入居して以来、  年が経過し、これまで  にわたり契約を更新させていただきました。しかしながら、この間、家賃の改定は一度も行われておりません。入居した  年前と現在では、経済事情は大きく変わり、近隣同種の家賃も下がっております。(ご参考までに、当マンション内における別の部屋の募集データのコピーを同封いたしました)つきましては、現在  円の家賃を、近隣同種の物件と同レベルの  万  000円にしていただきたく存じます。もし、上記にご同意いただけるようでしたら、再度、新しい賃料が記載された更新書類のご送付をお願いいたします。

また、現行賃料のまま据え置かれるようでしたら、引っ越しを検討いたしますので、
  年  月  日まで、その旨をお知らせいただきたく存じます。
以上、よろしくお願いいたします。
敬具
  年  月  日
〒   -       

    市    町
    号室入居者                           
 

6-1.家賃交渉の文書に記載する3つのポイント

1、現行の家賃が客観的に見て「不相応」になっている事実。

2、近隣同種の家賃が下落している中で、もう何年も家賃の下落が行われなかったために、自分の部屋の家賃は相対的に高くなっている事実

3、経済事情の変化に応じた家賃に改定してほしい旨

決定的な説得ポイントとしては、こちらの主張の根拠となるデータを加えることである。もし、同じ建物内で事例が見つかれば、手紙でもそれについて触れておくべきだ。

例えば、同じフロアの〇〇〇号室は家賃7万5000円で募集しているのに、自分は10万円で借りているのは、明らかに不相応。ついては、それと同じ水準にまで下げてほしいとして、7万5000円で募集している別の部屋の資料を同封しておけばいいだろう。

ただし、近隣同種の物件のデータしか無い場合は、あえて事例は出さないのが鉄則だ。
不動産は、まったく同じ条件の建物が存在しないため、別の建物の事例を持ち出しても、細かい条件が違うと言い逃れされる可能性があるからだ。

7.強力な交渉手段!調停!!

 

大家サイドが家賃交渉を拒否したら、調停に持ち込めばいい。

「調停」とは紛争が起きて、それを当事者間では解決できないときに、裁判所に申し立てを行って解決するもっとも簡便な手段だ。通常の裁判のように判決は出ないが民間から選ばれた、調停委員が間に入って話し合いがまとまるように仲介してくれる。

「法的措置なんて…大袈裟なこととんでもない」と思われるかもしれないが調停だけであれば、その申し立て手続きは至って簡単で費用も大して掛からないのである。

調停申立書が見本なので目を通しておきたい。
申立人と、相手方の住所・氏名・家賃をいくらにしてほしいか記入すれば、後の詳しい事情については、理由をまるで囲む程度だ。これに、借りている不動産の登記簿謄本や賃貸契約書のコピーを添付して、地元の簡易裁判所に提出するだけだ。

それで、正式な裁判所の手続きのため、調停で合意した内容は訴訟の判決と同じ効力を持つのが大きな特徴だ。
費用も数千円程度で済んでしまう。

7-1.調停に持ち込むメリット・デメリット

一方、調停のデメリットとしては、もし相手側が裁判所の呼び出しに応じなければ、それ以上の強制力は無い為、何の役にも立たない。
が、現実にそうなるケースは少ない。

調停は持ち込む行為そのものに意味があるのだ。
個人の大家さんの場合は調停に持ち込む意思を示すだけで減額に応じてくれることが多いのだ。
なぜなら、調停といえども法的な手段に訴えられたら、それだけでかなりのプレッシャーを感じてしまうからだ。

ちなみに、家賃に関する争いについて裁判を起こすためには、必ず先に調停を経ないといけない事となっている。
こちらにそんなつもりはなくても、調停から訴訟に発展するかもしれないと解釈する人もいる。そんな面倒なことになるなら、希望額どおりに家賃を下げたほうがいいと考える大家も実は少なくないのである。

7-2.調停委員は味方?!

実際に調停になった場合、相手方が出頭さえしてくれば有利な展開に持ち込むことが出来る。
その理由は、家賃値下げの事案は家賃が下がらないと調停は成立しない。
よって、調停委員は大家のほうを説得しにかかる傾向があるのだ。

また、家賃に関する事件を扱う調停委員は地元の不動産鑑定士がなることが多く、調停を数多く成立させた人が優れた調停委員となっている。そのためにも、調停委員は大家さんを説得して1件でも多く調停をまとめたがるからだ。
この仕組みを知っていると、あなたは安心して調停に望めるわけだが、逆に大家サイドからすれば、調停に出て行くのは最初から不利。

そのことがわかっているからこそ、簡易裁判所から呼び出しがあっても、一切でてこないケースがあるのだ。
大家との人間関係を壊したくない…。そう考える方も少なくないと思うが、そこは割り切ったほうがいい。
なぜなら、実際は大家サイドはあなたのことを「家賃を生み出すだけの存在」くらいにしか思っていないからだ。

そこは割り切ってあなたが持つべき権利である以上、堂々としていれば問題ない。

8.まとめ

 

あなたが今の家賃を無駄に支払っているなら、適切な賃料に改定してもらう必要がある。
それは、あなたにとって当たり前の権利なのだから。

 

今回全体的に参考にしたのがこちらの本です。読みやすく短時間で一通りの内容についてわかります。
時間ある方は一読してみて下さい。

家賃を2割下げる方法

       家賃を2割下げる方法
        著者:日向 咲嗣

        出版社/株式会社三五館
        発売日:2013/07/03

    

  

                                                             

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